国民車の可能性秘めた 待望のコンパクトSUV

トヨタ ライズダイハツ ロッキー

5ナンバーのSUVというマーケットは、予想通りこの時代の金脈だった。
ワクワクして待っていたというテリーさん。
果たしてお眼鏡にかなう出来栄えだったのか……。

都市部でも日常的に使えてSUVの雰囲気を味わえる

 遅い! 遅すぎる!!世の中はもうずっとSUVブームなんだから、こういうコンパクトなSUVもあって当たり前なのに、どうしてこんなに遅くなったのか不思議でならない。前の ラッシュビーゴ が消滅してからもうずいぶん時間がたっている。メーカーのお偉いさんはいつも頭を突き合わせて会議をやっているはずなのに、もっと早くこういうクルマを出すべきという話にならなかったんだろうか。
 案の定、待っていた人は少なくなかったようで、発売と同時に売れまくっているらしく、いま最も売れている日本車といっても過言じゃない。5ナンバーのSUVというマーケットは大いにアリだということが改めて確認できた。これが定着すると、ロッキーライズ は昔のカローラサニーのような国民車になれると思うよ。
 価格をかなり安く抑えたのもよくがんばったと思う。最近では軽自動車もけっこう高くなったことだし、少しだけプラスぐらいの感覚でロッキーライズは買えるんだから、それはみんな飛びつくよね。
 ただし、この安さを実現するために徹底的にコストカットしてるのは明らかで、乗ってみてちょっとガッカリしたのも事実。コストカットし過ぎていて味気ない感じがしてしまうのは正直なところ。今どきの軽のほうがよっぽど金がかかっているよ。でも、そのおかげでこの価格が実現できたのならヨシとすべきだろうね。
 とにかく、この値段でこの内容ならお買い得であることには違いない。それに大きなSUVに乗るのはおっくうだけど、これぐらいコンパクトならどこでも乗っていけて、SUVらしい雰囲気がいつでも味わえるのはいいこと。狭い道を走ったりスーパーの駐車場に止めるのも苦にならないから、都市部でも日常的に使えるのがいいよね。
 逆に5ナンバーだから軽自動車よりもロングドライブはラクだろうし、サイズはコンパクトでもSUVらしく地上高も十分にあるし4WDも選べるから行動範囲が広がるよね。このクルマがあったら彼女とどこへでも行ける武器が手に入ると思わせる力を持っている。こんなクルマを待ってた人は大勢いると思う。僕も若かったら飛びついたかもしれないよ。

DNトレックのイメージで出てくると思っていたが…

 ただ、僕にとってはデザインが大問題だ。RAV4を小さくしただけみたいで新しさがないし、顔つきだってこんなコワモテにすることはなかったんじゃないかな。全然似合っていない気がしてならない。コンパクトなクルマにはコンパクトなクルマに似合うデザインというものがあるはずだよね。
 前々回の東京モーターショーに出たコンセプトカーのほうが断然、新しさがあった。「DNトレック」ね。あれは欧州的な繊細さがあって秀逸だといまでも思っているよ。だから僕は2年間、もうすぐダイハツから出るSUVはいいぞ! と自動車誌でもさんざん言ってきた。ところが、いざ出てきたらずいぶん雰囲気が変わってしまっていたからビックリしたんだ。これでは代官山の蔦屋には似合わない。イトーヨーカドーだ。
 実は去年の東京モーターショーに行ったときに、ダイハツブースでDNトレックのデザイナーと話ができて、「市販車はダサくなりましたね」と率直な気持ちを伝えたんだ。彼は僕の大好きなムーヴキャンパスも手掛けた人物で、本当にセンスがあると思っている。するとそのデザイナーは困った顔をして、「実はロッキーは自分じゃないんです」と言うんだ。
 えっ!?ということは…。思うに、最初はダイハツから企画がスタートしたけど、ある時からトヨタの意見が大きくなった。するといいデザインよりも、いかに売れるデザインかが重視される。コワモテにした方が人気が出るからと、最終的にお偉いさんがそっちでハンコを押した。結果、こうなったというわけだ。大人の事情ってやつだよね。大衆が欲しがるのはこんなもんだと考えてつくられたのがミエミエで、なんだかイヤだな……。
 日本の自動車メーカーも、軽自動車なら面白いことをいろいろやってくれるのに、5ナンバー以上になった途端大人が出てきて、デザイナーのピュアな思いよりもデータでクルマをつくろうとする。それは悲劇だと思うよ。DNトレックのように才能豊かなデザイナーはいるんだから、ぜひ日本のメーカーにも、例えばSUVならイヴォークのように、驚くようなデザインを見せてほしいよね。

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ロッキーライズの系譜をご紹介

当時流行のライトクロカンをダイハツも発売。3ドアのボディに簡単に着脱できるレジントップを備え、1.6ℓ 4気筒のガソリンエンジンを搭載。国内販売は芳しくなく1997年に終了、累計台数は1万2638台にとどまる。

ビルトインフレーム方式のモノコックボディを採用し、小型車では数少ない縦置きエンジンで後輪駆動をベースとする。全幅わずか1555mmのコンパクトな4ドアボディに横開き式バックドアを備えた。エンジンは1.3ℓ 4気筒の自然吸気とターボ。4WDシステムはセンターデフロック機構を備えた本格的なもので、のちに2WDも追加された。登場から1年半後には軽自動車版のテリオスキッドが、2年後にはトヨタ版のキャミが発売された。

◆1990年~1997年 初代ロッキーダイハツ


◆1997年~2006年 テリオス(ダイハツ


◆1999年~2006年 キャミ(トヨタ


◆2006年~2016年 ビーゴダイハツ


◆2006年~2016年 ラッシュトヨタ

デザインはガラリと変わったが、ビルトインラダーフレーム式モノコックやスペアタイヤを背負った横開き式のバックドア、スイッチひとつでロックが可能なセンターデフを備えたフルタイム式4WDなどを踏襲。縦置きされるエンジンは1.5ℓ 4気筒の自然吸気のみ。ラッシュとビーゴでデザイン上の違いはほとんどない。前期型ではルーフレールとサイドスカート、リアスポイラー等の有無の設定が両車で異なるが、後期型で統一された。

● コンセプトカー
◆2017年 DNトレック(ダイハツ

東京モーターショー2017で披露されたコンセプトカー。観音開きドアで、インテリアも上質に仕立てられていた。新開発の1.2ℓのハイブリッドを搭載するという触れ込みで、やがて世に出てくるコンパクトSUVのベースになると思われたが…。

◆2019年 ロッキー(ダイハツ

ロッキー G 2WD
ブラックマイカメタリック<X07> X コンパーノレッド 【XH7】

◆2019年 ライズ(トヨタ

ダイハツの新世代プラットホーム「DNGA」を採用し、FFベースとなった。エンジンは1.0ℓ 3気筒ターボのみ。前身の2モデルと違いMTの設定はなく、ATに替えて全車ギアを組み合わせたダイハツ独自の「D-CVT」を搭載。テールゲートは跳ね上げ式とされ、LEDと液晶を用いたメーターが与えられた。見てのとおり両車でフロントフェースが大きく差別化されたのも特徴で、それぞれ専用色もあり、グレード体系と装備類の設定も微妙に異なる。

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