誰にでも薦められる 完成度の高い実用車

Volkswagen Golf

間もなくその8代目が日本上陸するゴルフは、
初代から、日本人の感性にピタりとハマった車だった。
質実剛健でありながらカワイイを経てきたゴルフ
現在は、テリー伊藤さんの目にはどう映っているのだろう。

ビートルゴルフ3に乗りオールトラックを愛車に

 今ちょうどゴルフオールトラックに乗っていて、200万円ぐらいの中古車を普段自分で運転しているんだけど、本当によくできていてビックリしている。使い勝手はいいし走りもよくて疲れない。こんなにいい車 だったのかと感心しているよ。
 後ろをフルフラットにできるのもいい。ちゃんと本当にフラットになるワゴンは実はあまりないからね。寝袋を持っていって車中泊したこともあるよ。昔、BMWメルセデスワゴンにも乗っていたけど、コッチのほうが断然いい。
 難点は、まだ新しいのに窓が閉まらなくなったり、いきなりバッテリーが上がってエンジンがかからなかったり、あまり日本車では聞かないようなトラブルが起こったことかな。しかもディーラーに修理を頼むと、ちょっとしたことでも10日ぐらいもどってこないんだよね。クルマは売れてるのに整備工場のキャパが完全にオーバーしてる。それをさしおけばクルマ自体は本当によくできているよ。
 ずっと前にはゴルフ3を愛車にしていたときもあって、とにかく足まわりがよかったよね。当時の日本車なんてほとんどフニャフニャだったけど、ゴルフは本当にしっかりしていた。
 ゴルフ3の前にはずっと長いことビートルに乗っていたんだけど、思えば初代ゴルフが出たときには衝撃を受けたものだよ。いつまでもカブトムシの時代じゃないと思っていたところにゴルフが出てきて、あまりにガラリと変わったから抵抗も感じたけど、この手があったか! と思ったよね。でも、なぜすぐにゴルフにいかなかったかというと、ビートルを手放してゴルフを愛車にする気にはなかなかなれなくて、ゴルフ3のときにようやく乗り替える気になれたからだよ。
 そんなゴルフは、「世界標準」と呼ばれるようになる。それを日本で浸透させたのは徳大寺さんだよね。ゴルフのよさを「間違いだらけ…」で世に知らしめた。
 フランスやイタリアにもよくできたコンパクトカーはいくらでもあったのに、なんでゴルフだけがもてはやされたかというと、いろんな面で日本人と相性がいいからだよね。日本人はちゃんとしたものが好きだ。それはほかにも素晴らしい時計がいくらでもあるのにロレックスとオメガ以外にはなかなか目が向かないのに似ていて、日本人の期待にドンピシャで応えたのがゴルフだったということだ。

カワイイの基準だったのにいつしかオヤジグルマに

 80〜90年代にはミッション系の学校に通う女の子あたりが乗ってる姿がとても絵になって、〝カワイイ〞の基準にもなったよね。若者が湘南や軽井沢に遊びに行くのが似合う車でもあった。それでいて質実剛健という言葉がピッタリのシンプルな雰囲気もよかった。ほかの多くのクルマはどんどんしつこくなっていったけど、ゴルフは普遍性をキープしているところは偉いと思うよ。
 野球でいうと1番バッターだよね。3番4番はBMWメルセデスだけど、高打率で走りもよくて小回りがきいて盗塁もできるゴルフは、位置づけとしては1番打者みたいなものだ。
 ただ、昔はコンパクトカーでキビキビといっていたのに、ゴルフはもうコンパクトカーじゃないしキビキビという感じでもない。自らゴルフの哲学を破っていって、いつしかゴルフはよくできた実用車ではあるけど、オヤジグルマっぽいイメージがついてまわるようになってきた。それが定着して、エンスー的には保守的すぎて面白味に欠ける面もなくはない。結果、昔はカワイイからゴルフを買うといっていた層は、MINIルノーカングーにとってかわられた。最近ではVWの中にもTクロスTロックが出てきたよね。
 それでも今のところゴルフは絶対数としては売れているのは大したものだけど、たとえばあれほど安泰だったクラウンだって、ついに後がなくなってしまった。
 もうすぐ8代目のゴルフが日本にやってくる。こういう時代だから、ますます電動化も進むし、メーターまわりも一気に先進的になったりと、新しい要素をいろいろ取り入れてくるのは楽しみだよね。むろんこれまでどおり完成度はとても高くて、誰にでも薦められる車であることは間違いない。
 ただ、残念なのは、「」や「GTI」はあるけど、おそらくカブリオレがないことだ。売れないものはつくらないという姿勢は、自らの可能性を狭めるし、イメージ的にも損する部分が大きいんじゃないかな。ゴルフにはクラウンのようになってほしくないからね。

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歴代ゴルフをご紹介 Volkswagen Golfの変遷

※掲載年はドイツ販売ベース

◆1974年~ 初代

空冷エンジンをリアに搭載したタイプ1(ビートル)から一転し、巨匠ジウジアーロの手による直線基調のスタイリングに。76年にGTI、80年にカブリオが追加。

◆1983年~ 2代目

初代をキープコンセプトしつつボディサイズの拡大により居住性が向上。4WD機構を搭載した「シンクロ」や「カントリー」など時代を先取りした派生車も。

◆1991年~ 3台目

ヘッドライトをはじめデザインテイストが変化。ゴルフ初のワゴンヴァリアント」が設定されたほか、GTIの上にV6エンジンを積む「VR6」が頂点に据えられた。

◆1997年~ 4代目

初めて全幅が1.7mを超えて3ナンバーに。内外装を高級化路線としたり、大衆車ながら横滑り防止装置をいちはやく導入したのも特徴。Rラインを初設定。

◆2003年~ 5代目

現在につながるスタイリングに一新。ダウンサイジングコンセプトによる小排気量の過給機付きエンジンやDSGを他社に先駆けて採用し新機軸を打ち出した。

◆2008年~ 6代目

先代からプラットフォームをキャリオーバーしつつ全面改良。歴代ゴルフの中では短命となったのは、ゴルフ5の高コスト体質を改善するためともいわれる。

◆2012年~ 7代目

車体骨格を「MQB」に一新し、従来比で約100kgにおよぶ軽量化を実現。しばし途絶えていたカブリオレが復活。クリーンディーゼル車を日本にも正式に導入。

◆2019年~ 8代目

欧州では2019年秋に発表。48Vマイルドハイブリッドを搭載。よりデジタル化したコックピットや進化した運転支援システムなど、先進的な内容となる。

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